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「任意整理すると車のローンや住宅ローンはどうなるの?」
「任意整理すると車や家は手元に残せるのか?」
借金の将来的な利息がカットされ、3年~5年の分割払いにしてもらえる任意整理ですが、車のローンや住宅ローンが残っている場合はどうなるのか、気になるところだと思います。
まず、車のローンや住宅ローンを任意整理の対象にすることはできません。しかし、任意整理では対象の借金を自由に選択できるため、車のローンや住宅ローンを除外すれば、車や家を手元に残せる場合もあります。
とはいえ、実際はもう少し複雑なので、任意整理すると残っている車のローンや住宅ローンがどうなるのか詳しく説明します。
まず、任意整理の概要とメリットについて説明します。
任意整理とは、債権者(クレジットカード会社・消費者金融・銀行などの貸金業者)にお願いして任意の交渉に応じてもらうことで、将来的に発生する利息と遅延損害金をカットして、3年~5年間の分割払いにしてもらえるように和解する債務整理(借金問題を法的に解決するために国が整備した制度)になります。
つまり、任意整理とは「債権者に借金の分割払いを認めてもらう債務整理」といえるのです。
前述したように、任意整理のメリットは、毎月の借金返済の負担が軽減されることで、借金問題の解決に近づけるという点だといえます。
また、任意整理では対象の借金を自由に選択することが可能です。
そして、この特定の借金を除外して、その他の借金を債務整理できる点は、他の債務整理にはない任意整理独自のメリットといえるでしょう。
さらに、任意整理は裁判所を介さずに行われる債務整理のため、複雑なルールや手続がありません。
そのため、他の債務整理にくらべ手続が簡単でスムーズに進むので、早ければ3ヶ月程度で手続が終了する場合もあります。
また、任意整理の手続は、弁護士や司法書士といった専門家に依頼して行うのが一般的ですが、他の債務整理にくらべ家族にバレにくいというのも人気の理由です。
車のローン(自動車ローン)を任意整理する場合には、車の所有権が誰にあるかという点が非常に重要になります。
前述した通り、任意整理では対象にする借金を自由に選択できるため、車のローンを除外して手続を行えば、車を手元に残すことが可能です。
ただし、任意整理した後は、その他の借金の返済と並行して、車のローンの支払いも継続することが条件となります。
しかし、車のローンの支払いができなくなった場合には、ディーラーやローンの保証会社によって車が引き上げられるため、手元に残すことはできないでしょう。
通常、車のローンを組む際には、契約書に「所有権留保」という条項が含まれるのが一般的となっています。
所有権留保とは、簡単に言えば、車のローンを完済するまでの期間は、車の所有権がローンを組んだディーラーや保証会社に残るということです。
つまり、車を担保にしてローンを組むということです。
したがって、車のローンは任意整理することができません。
なぜなら、担保が付いているローンを任意整理しても、債権者側のメリットがないため、任意の交渉に応じる必要がないからです。
なお、債権者が任意整理の交渉に応じるのは、債務者(任意整理する方)が自己破産してしまうと一銭も回収できなくなってしまうため、それよりはマシだからといいう理由になります。
よって、車のローンの支払いができなくなった場合には、車を手元に残すことが難しいでしょう。
債務整理には、個人再生や自己破産といった他の手続もあるのですが、車を残せる債務整理は任意整理だけです。
個人再生(裁判所に借金の減額を認めてもらう債務整理)や自己破産(裁判所に借金の返済を免除してもらう債務整理)は、任意整理とは異なり裁判所を介する債務整理になります。
そのため、裁判所の強制力によって債権者に借金の減額などを求める関係上、すべての債権者を平等に扱う必要があるのです。
(債権者平等の原則)したがって、個人再生や自己破産では特定の借金だけを債務整理の対象から除外することはできず、原則としてすべての借金が対象になります。
車のローンを組む際には、オリコやアプラス、ジャックスといった信販会社が提供するものを利用するケースが多いのですが、任意整理の対象に同じ信販会社の別の借金(クレジットカードやカードローン、キャッシングなど)が含まれる場合には注意が必要です。
たとえば、信販会社がアプラスの車のローンを組んでいる方が、アプラスカードの借金を任意整理の対象にした場合には、車のローンも任意整理の対象に含まれてしまいます。
よって、車も引き上げられることになるのです。
住宅ローンを任意整理するとどうなるのか
車のローンと同様、住宅ローンを任意整理の対象から除外して、返済を継続できれば、家を手元に残すことが可能です。
住宅ローンを組む際には、契約の中に「抵当権」と呼ばれる権利が設定されています。
抵当権とは、住宅ローンなどを組む際に、購入する土地と建物に設定される権利のことです。
つまり、家を担保に借金を組むということになります。
では、「住宅ローンを任意整理できるのか?」と言われると、結論として住宅ローンは任意整理することができません。
なぜなら、住宅ローンは家が担保になっているので、債務者が返済できなくなった場合には、家を競売にかけて借金残額を回収することができるからです。
そのため、わざわざ不利な条件になる任意整理の交渉に応じるような債権者は、ほとんどいないでしょう。
しかし、そのいっぽうで、カードローンやキャッシングといった借金には担保がありません。
そのため、債務者に自己破産されて一銭も回収できないよりは、貸したお金を回収できる任意整理のほうがマシだという考えから、交渉に応じてくれるケースが多いのです。
住宅ローンの返済が厳しくなった場合には、まず住宅ローンを組んでもらった銀行に相談するのがおすすめです。
なぜなら、たいていの銀行には住宅ローンの相談窓口が設置されているため、返済期間を延長して毎月の負担を減らしてもらえたり、期限付きで借金の返済に猶予がもらえたりする調整をしてくれる場合があります。
したがって、住宅ローンの返済が厳しくなってきた場合には、弁護士や司法書士に相談する前に、銀行に相談してみるのが先決といえるでしょう。
いっぽう、裁判所に申立することで借金を1/5~1/10程度まで減額してもらい、残りを原則3年間で返済できれば完済扱いにしてもらえる債務整理である「個人再生」には、「住宅ローン特則」という制度があります。
住宅ローン特則とは、借金を減額してもらいつつ、住宅ローンが残った家を手元に残せる制度で、住宅ローンだけを除外して債務整理することが可能です。
ただし、任意整理で住宅ローンを除外したときと同様、住宅ローンの支払いをそのまま継続することが、家を手元に残す条件になるため注意しましょう。
先ほど、車のローンの際には、同じ信販会社の借金を任意整理の対象にすると、車のローンも対象になると説明しました。
しかし、住宅ローンを組んだ銀行の別の借金を任意整理の対象にした場合には別モノとして扱われるため、返済をそのまま継続できれば家を手元に残すことが可能です。
ただし、銀行の借金を任意整理の対象にすると、その銀行の口座が凍結されてしまうため、しばらくの間は銀行の窓口で住宅ローンの支払いをする必要があります。
なお、銀行の口座が凍結される期間は、弁護士や司法書士が銀行に受任通知を送ってから、保証会社による代位弁済が行われるまでの、1ヶ月~2カ月程度の期間です。
「受任通知」とは、弁護士や司法書士とに任意整理の手続を正式に依頼した後、債権者に対して「あなたから任意整理の手続を委任されました」という旨を明示する書類になります。
また、「代位弁済」とは、カードローンなどの借金滞納時に、ローンの保証会社があなたの代わりに借金を一括返済することです。
よって、保証会社の代位弁済さえ終われば、銀行口座の凍結は解除されます。