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静岡債務整理相談センターTOP > 個人再生 > 清算価値保障の原則とは?
「個人再生について調べているけど、清算価値保障の原則ってなんのこと?」
「たくさんの財産を持っていると、個人再生が不利になるって本当?」
個人再生には「清算価値保障の原則」というルールがあります。このルールは、個人再生で借金を減額するときの減額幅を制限するもので、財産(現金・家・車・株など)の量からその人の「清算価値」を導き出し、適切な減額を行うためのものです。
本ページでは、清算価値保障の原則に関する基本的な知識や、清算価値の内訳、あるいは清算価値の対象外となるものについてご紹介します。
清算価値保障の原則とは、個人再生をするときに「自己破産をした場合よりも多く借金を返済しなければならない」というルールです。
個人再生は自分の財産を守りながら、借金の減額を目指す債務整理です。
一方、自己破産は財産を没収される代わりに、借金全額を免除する債務整理です。個人再生では、財産を守れる分、今自分が持っている財産より多く借金を返済しなければなりません。
ここでいう財産には、現金だけでなく、家や車、株なども含まれます。
もし、あなたが個人再生を行うときに多くの財産を持っていると、「清算価値が高い」とみなされ、この原則に基づいて借金の減額幅が小さくなってしまうことがあります。
個人再生を考えるときは、これらのルールを理解して決断するようにしましょう。
清算価値とは、あなたの財産をお金に換金したときの想定額のことです。自己破産を行うと、これらがすべて没収されたうえで換金され、カード会社への返済に充てられます。(複数のカード会社から借金をしていた場合は、分配されます。)清算価値には以下のような財産が含まれます。
・現金や預金
・退職金の見込み額
・保険の解約返戻金
・自動車やバイク
・腕時計・宝石などの高級品
・住宅などの不動産
・株などの有価証券 など
なお、清算価値の算出方法は複雑で、一般の方では具体的な額を確認することが難しい場合もあります。ご自身の清算価値が知りたいときは、弁護士・司法書士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
先ほど、清算価値についてご説明しましたが、実はあなたが持つ財産の中にもごく一部、例外的に自己破産をしても没収されない、つまり清算価値としてカウントされない財産があります。
これらは「自由財産」と呼ばれ、今後の人生を立て直すために、自己破産をしても失わずに残すことができます。主な自由財産は以下の通りです。
・99万円までの現金
・生活に必要な家財
・差し押さえのできない財産
・(給与・年金・社会保険・公的援助に関する給付・損害賠償の請求権など)
・20万円以下の預金
・20万円以下の保険解約金
・20万円以下の自動車 など
特に、99万円までの現金・生活に必要な家財・差し押さえのできない財産は破産法で定められているため、どなたが自己破産を行なっても没収されることがありません。
それ以外は、裁判所の判断に応じて、自由財産に含まれるかどうかが決定されるので、注意が必要です。
清算価値保障の原則は、個人再生をする方と自己破産をする方の平等性を保ち、カード会社の利益を守るためにあります。個人再生は財産を失う自己破産と比べて、財産を没収されない分、失うものが少ない債務整理といえます。
特に現金・家・車・株などの財産を多く持っている方の場合、自己破産を行うより、個人再生をした方が財産を残せる分、不平等が生じてしまう恐れがあります。
ここで理解を深めるために、清算価値保障の原則がなかった場合に起こるカード会社の不利益の例をご説明します。
たとえば、もしあなたが400万円の借金を債務整理したいと考えたときに、複数の家や高級な車、株など、売却したら清算価値が200万円になるような財産を持っていたとします。
自己破産を行うと、400万円の借金は無くなりますが、清算価値としてカウントされる200万円分の財産は没収され、換金されたうえで、お金としてカード会社に返済されます。
一方、個人再生を行う場合には、まず400万円の借金に対して利息の免除と元金の減額が行われます。今回はカード会社に返済する借金が100万円まで減額されたとしましょう。
また、個人再生では財産を没収されることはないため、手元に200万円分の財産が残ったままになります。(ただし、ローン返済中の車などは没収されることもあります。)
ここで、カード会社へ返済される金額にご注目ください。自己破産を行なった場合、カード会社に200万円の返済がありますが、個人再生を行なった場合には100万円しか返済されません。しかも、個人再生の場合には、あなたの手元に200万円の財産が残ったままです。これでは、カード会社が個人再生に不満を持つのも仕方がありません。
このような不平等を防ぎ、カード会社が納得のいく個人再生を行うために定められたのが、「清算価値保証の原則」なのです。
個人再生によって、利息の免除と元金の減額を受けた借金の総額のことを「計画弁済総額」といいます。計画弁済総額を算出するための判断材料の1つとなるのが「清算価値」です。
個人再生を行うときは、再生価値保障の原則を守るために、清算価値を算出し、あなたが自己破産をした場合、カード会社にどのくらい借金を返済できるのかを予想します。計画弁済総額は、この清算価値を下回ることができません。
とはいっても、計画弁済総額をきめるのは、清算価値だけではありません。借金の総額に応じて法律上で「最低弁済額」というものが定められており、これを清算価値と比較して、より高額なものが計画弁済総額となります。
先ほどの例のように、あなたに400万円の借金があった場合、法律で定められている最低弁済額は100万円です。
あなたの清算価値が100万円以上と算出された場合、清算価値=計画弁済総額となるのです。先ほどの例では、清算価値が200万円であったため、清算価値=計画弁済総額となり、計画弁済額は200万円ということになります。
・持っている財産が多く、清算価値が高いと、個人再生時の借金の減額が少なくなる
・ただし、一部の財産は自由財産といって、清算価値の算出から免除される
・財産を多く持っている場合、個人再生と自己破産とでは、自己破産の方がカード会社への返済額が低くなってしまうことがある
・さらに、個人再生では財産の没収もないため、カード会社としては不服に感じやすい
・これを防ぐために定められたのが「清算価値保障の原則」である
・個人再生を行う際は、必ず清算価値の算出を行う
・個人再生では借金の総額に応じて、「最低弁済額」が法律で定められている
・計画弁済総額は「清算価値」と「最低弁済額」のうち、より高額な方の金額となる