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「夫(旦那)が自己破産すると家族に影響はあるのか?」
「夫(旦那)が自己破産しても家族には関係ない!?」
自己破産すると借金の支払いは帳消しにしてもらえますが、財産を失ったりクレジットカードが使えなくなったりするデメリットが発生します。
そのため、「もし夫(旦那)が自己破産したら家族に多大な影響が出るのでは……」と思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、自己破産によるデメリットの影響を受けるのは原則として本人のみなので、家族への直接的な影響はありません。
ただし、家や車といった家族共有の財産が処分対象になった場合には、一緒くに暮らす家族も大きな影響を受けることになるでしょう。
また、一家の大黒柱が自己破産することで、経済的に厳しくなることも十分に考えられます。
そこで今回は、夫(旦那)が自己破産したら家族にどんな影響があるのか解説します。
まず、自己破産の概要と、それによるデメリットについて説明しておきます。
自己破産とは、簡単に言うと借金をチャラにしてもらえる債務整理(国が作った借金問題を法的に解決するための制度)の一つです。
自己破産では、「破産」と「免責」という二つの手続きが行われます。
破産手続とは破産者(自己破産する方)が保有する財産を処分して換価(お金に換えること)することで、債権者(お金を貸したクレジットカード会社・消費者金融・銀行など)に配当する手続きです。
いっぽう、免責手続とは、裁判所に「支払い不能状態」と認められることで、借金の返済をチャラにしてもらえる手続きになります。
つまり、自己破産とは「財産を失う代わりに借金をチャラにしてもらえる手続き」といえるでしょう。
借金をチャラにしてもらえる自己破産ですが、当然デメリットもあります。
自己破産のデメリットとしてまず挙げられるのが、やはり財産の没収です。
自己破産すると、原則として20万円以上の価値ある財産と、99万円以上の現金が裁判所に処分され換価対象になります。
そのため、家や土地、車などが没収される可能性があるでしょう。
次に、自己破産すると信用情報(クレジットカード会社、消費者金融、銀行などと顧客の取引履歴や、債務整理した事実などが記録されたもの)に事故情報として登録されるため、5年~10年程度の期間は新たな借入ができなくなる、いわゆる「ブラックリストに載る」状態になります。
ブラックリストに載る具体的なデメリットは、以下の通りです。
・クレジットカードの利用と新規発行ができなくなる
・ローンが組めなくなる(住宅ローンや自動車ローンなど)
・キャッシングが利用できなくなる
・リボ払い、分割払いができなくなる(スマホ新機種の分割購入など)
・ローンや奨学金の保証人になれなくなる
ただし、ブラックリストの影響を受けるのは自己破産した夫(旦那)のみなので、家族には影響ありません。
また、破産手続の期間中は、資格を伴う職業に就くことが制限されます。
したがって、弁護士や司法書士、公認会計士、税理士、生命保険外交員や宅地建物取引主任者といった資格が必要な仕事に就いている方は、破産手続の期間中は仕事ができなくなるため注意が必要です。
さらに、破産手続の期間中は、住居の自由が制限されるため、裁判所に無断で引っ越ししたり、海外出張したりすることも禁じられています。
最後に、自己破産すると「官報」という政府が発行する広報誌に、夫(旦那)の名前や住所、自己破産した事実などが載ってしまいますが、一般の方が目にする機会はまずありませんので周囲の方に自己破産したことがバレることはまずないでしょう。
では、夫(旦那)の自己破産によって、家族にどんな影響を及ぼすのか説明します。
まず、結論から言うと、自己破産による数々のデメリットの影響を受けるのは、破産者である夫(旦那)のみです。
したがって、原則として自己破産による家族への影響はないといえるでしょう。
したがって、夫(旦那)が自己破産したからといって、妻や子どもといった家族に借金の支払い義務が発生することは一切ありません。
また、自己破産するとほとんどの財産を失うことになりますが、日本には「夫婦別産制」と呼ばれるルールがあるため、妻が結婚する前から持っていた財産に関しては妻固有の財産として認められます。
よって、夫(旦那)が自己破産しても、妻固有の財産が影響を受けることはありません。
しかしながら、一家の大黒柱である夫(旦那)が自己破産したことによって、一緒に暮らす家族にも影響が及ぶ可能性はあります。
前述した通り、夫婦別産制が認められているため、夫(旦那)が自己破産しても妻固有の財産は守られることになりますが、だからといって妻名義の財産がすべて手元に残せるというわけではありません。
結婚後に築いた財産は、たとえ妻名義だったとしても夫(旦那)が自己破産すると没収される場合があります。なぜなら、妻名義の財産だったとしても、家計が何らかの形で影響している可能性があるからです。たとえば、妻名義で高級車を購入する際、その代金を支払っているのが夫(旦那)だった場合には、夫(旦那)の財産とみなされるため没収対象になります。つまり、家族で築いた共有財産については、名義が誰というよりもお金を誰が払っているかが重要になるのです。
前述した共有財産のうち、家族にもっとも影響を与える可能性があるのが、家や車でしょう。
まず、持ち家に関しては、住宅ローンが残っていようといまいと、夫(旦那)が自己破産すると手元に残すことはできません。
住宅ローン完済済みの持ち家は、裁判所に処分され競売にかけられた後で清算されます。
いっぽう、住宅ローンの返済が残っている持ち家については、自己破産するとローンの保証会社によって引き上げられ処分されるため、やはり手元に残すことは難しいでしょう。
このとき、夫(旦那)と妻が連名でローンを組んでいる場合でも、夫(旦那)の分が清算対象になりますので、やはり持ち家を手元に残すのは困難です。
ただし、持ち家ではなく賃貸物件に住んでいる場合は、家賃さえ払い続ければそのまま住み続けることができます。
しかし、家賃の支払いがカード払いの物件の場合には、ブラックリストの影響で支払えなくなるため、引っ越しが必要になる可能性もあるでしょう。
次に、車に関しても持ち家と同様、夫(旦那)名義でかつ、20万円以上の市場価値があると認められれば処分対象です。
また、自動車ローンが残っている車に関しては、購入時の契約内容に「所有権留保」という規約があることが多いため、自己破産すると販売元のディーラーやローンの保証会社に引き上げられます。
なお、車の所有権が夫(旦那)以外の家族になっている場合でも、前述したように代金の支払いをしたのが夫(旦那)だった場合には、募集対象になる可能性が高いでしょう。
ただし、自動車ローンを完済した車は、いわゆる中古車としての扱いになるため、20万円以上の市場価格になるケースは少なく手元に残せる可能性が高いのが実情です。
よって、心配なのは高級車だった場合でしょう。
夫(旦那)が自己破産する際、その対象の中に家族が保証人になっている借金があった場合には、ローン返済義務が家族にそのまま移ることになります。
ローンの保証人や連帯保証人になると、債務者(借金した方)が支払い不能状態になったときには、代わりにローンを支払う義務が発生するため、支払えない場合には、その家族も自己破産しなくてはいけなくなる可能性もあるでしょう。
よって、夫(旦那)以外の家族がローンの保証人になっている場合には、夫(旦那)が自己破産したとき大きな影響を受けるため注意が必要になります。
ブラックリストの影響により、クレジットカードが利用できなくなったり、ローンが組めなくなったりするのは自己破産した夫(旦那)のみとなります。
したがって、家族にはまったく影響ないため、これまで通りクレジットカードの利用やローンを組むことが可能です。
ただし、ブラックリストに載る状態の夫(旦那)は、ローンや奨学金の保証人になれないため、子どもなどに間接的に影響を与える可能性はあるでしょう。(詳しくは、後述)
次に、夫(旦那)が自己破産すると、子どもにどんな影響を与える可能性があるのか説明します。
夫(旦那)名義で子どもの学資保険などに入っていた場合は、裁判所に財産とみなされるため処分対象になります。
よって、子どもの進学のために組んだ学資保険の返戻金がなくなってしまうため、希望する学校に入れてやれなくなる可能性もあるでしょう。
また、前述した通り、夫(旦那)が自己破産すると、ローンや奨学金の保証人になれなくなります。
そのため、子どもの進学のための奨学金が必要な場合でも、保証人になれませんので、誰か他の方に保証人になってもらうことが必要です。
夫(旦那)が自己破産すると、どうしても家計は苦しくなってしまいます。
そのため、その影響によって、子どもの将来の選択肢をつぶす可能性があるということ覚えておきましょう。
夫(旦那)が自己破産したことが周囲の方にバレる可能性は極めて低いため、子どもの進学や就職活動に直接影響を与えることはありません。
しかし、前述したように、自己破産によって経済的に苦しくなって、子どもに満足な教育を受けさせることができず、結果として就職活動に影響を与えてしまう可能性は否定できません。
自己破産した夫(旦那)とはこれ以上生活したくないという場合、妻は自己破産を理由に離婚することができるのか解説します。
妻の立場からすれば、もしかしたら「自己破産するような夫(旦那)とは離婚したい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自己破産したことだけを理由に離婚することは法的に禁止されています。
しかし、自己破産が原因で生活が非常に苦しくなったり、夫(旦那)が家にまったく生活費を入れてくれなくなったりした場合や、夫婦双方が離婚することに納得しているのであれば離婚することは可能でしょう。
通常、離婚する際には、「財産分与」といって、夫婦共通の財産をそれぞれの貢献度に応じて分配する必要があります。
財産分与は、共通財産の1/2を譲渡するのが一般的です。
そのため、共通財産の1/2以内を譲渡する平均的なケースであれば、自己破産前に離婚して財産分与しても、基本的に裁判所に否認されることはないでしょう。
ただし、自己破産の直前(6ヶ月以内)に離婚した場合や、夫(旦那)が会社経営者で高収入だが、妻は専業主婦というケースで財産が高額な場合などには、裁判所に否認される可能性があるため注意が必要です。
また、中には自己破産すると財産が没収されるので、一時的に離婚して財産を妻に譲渡(逃がす)してしまおうと考える方もいらっしゃいます。
もちろん、こうした偽装離婚は違法なので絶対にやめましょう。
最悪の場合、免責不許可になる可能性もあります。